熊本信用金庫 金融機関コード:1951

  

リスク管理への取組みについて

 金融の自由化、国際化の進展にともない、信用リスクをはじめとして事務リスク、システムリスク、市場リスク、流動性リスクなどのさまざまなリスクが金融機関を取り巻き、信用金庫の経営にも影響を及ぼす機会が増大しております。刻々と変化する経済環境の中で経営の健全性を維持し、地域社会の負託に応え、期待される機能を発揮していくためには、このような多様化し複合化していくリスクの正確な把握と管理体制を確立する必要があります。そこで当金庫は、次のようなリスク管理を実施しています。

信用リスク

 信用リスクとは、取引先の財務状況の悪化等により、当金庫の資産の価値が減少したり、消失したりして、損失を被るリスクのことをいいます。当金庫はこのようなリスクに対応するために、適切な審査・与信管理を行い、更にリスク分散の徹底、信用リスク額の適正化を図り、適正な収益の維持・確保により経営の健全性を高めることとしております。そのために当金庫では業務推進部門と貸出審査部門を分離し、厳格かつ適切な管理体制を取っております。また、融資業務を行うにあたり遵守されるべき規範、与信リスク管理に関する基本方針等として、信用リスク管理要領を制定しております。与信案件の取上げにおいては、取引先の財務状況、資金使途、返済原資等を的確に把握するとともに、与信案件のもつ個別リスクや業種別リスク特性等を踏まえて適切に審査しております。更に与信集中リスク(グループ含む特定大口先、業種)等に対してもクレジット・リミットを設定するなど厳格な管理を行っております。また、貸出実行後の信用リスクの期中管理につきましては、定例訪問によるモニタリングの強化、継続を通して取引先の業績、財務状況、定性面等の変化、推移を時系列的に把握し、不良化の予兆等を早期に察知することで、不良債権化の防止、資産の健全性の維持、向上を図っております。

事務リスク

 事務リスクとは、事務上のミスや不正処理により、金融機関が損失を被るリスクのことをいいます。当金庫では、監査部が本支店に対して定例的に臨店監査を実施する一方、正確かつ迅速な事務処理と事務事故の発生を未然に防止するために、事務指導課による徹底した職員の指導教育を行なっており、合わせて事務規定等の見直しや整備も継続的に進めております。

システムリスク

 システムリスクとは、コンピュータのシステムダウンや誤作動等、システムの不備やコンピュータが不正に使用されることを原因として起こり、金融機関が損失を被るリスクのことをいいます。当金庫では、基幹となりますオンラインシステムにつきましては、加盟している一般社団法人しんきん共同センターのシステムを利用しており、十分なバックアップ体制をとっております。更に「コンティンジェンシープラン」「情報資産保護に関する基本方針」「個人情報保護法」等に基づく緊急事態等への対応や、情報資産の保護管理体制の整備を徹底することで、金庫内ネットワーク等の情報セキュリティ対策への対応、継続的なサイバーセキュリティ対策の実効性強化に関しても、事務開発課が徹底した指導を行なっております。

市場リスク・流動性リスク

 市場リスクとは、金利、有価証券の価格、為替等の様々なリスク・ファクターの変動によって、保有する資産の価値が変動して金融機関が損失を被るリスクのことをいいます。また流動性リスクとは予期せぬ資金の流出等により、通常よりも高い金利での資金調達を余儀なくされたり、資金繰り自体に支障を来すリスクのことをいいます。これらのリスクに対処するためには、金融環境の変化を予測し、各種リスクの管理と収益のバランスをとりながら、預貸金に代表される負債と資産を総合的に管理することが必要となってきます。この管理をALM(資産・負債総合管理)といいますが、当金庫は、刻々と変化していく金融環境に対処するため、月次ベースでシミュレーションを実施しており、毎月の収益状況の把握と将来的な収益予測、流動性リスクの計測、金利・価格変動リスクの計測等を行っております。そして、その結果を踏まえ、常勤理事会等において各種の経営施策を検討しております。