熊本信用金庫 金融機関コード:1951

  

ご挨拶

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会長 品川 良照

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理事長 井星 伸一

  皆様方には平素より格別のご愛顧・お引立てを賜り、厚く御礼を申し上げます。本年もディスクロージャー誌「くましんの現況2022」を作成いたしました。本誌では、弊金庫の経営方針や業務・財務の内容について出来る限り分かり易く開示させて頂くこととしており、弊金庫についてのご理解の一助になれば幸いと考えて作成致しております。なにとぞご高覧頂き、ご理解を深めて頂きますと共に、より一層のご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
  令和元年度からの3ヶ年中期経営計画の最終年度にあたった第90期は、 経営計画の基本方針下に掲げた (1)法令等遵守態勢・顧客保護等管理態勢の深化×進化 (2)経営力・統合的リスク管理態勢の深化×進化 (3)支援力・営業力の深化×進化 (4)人材力・組織力の深化×進化 の4つの主要施策の実現をめざし、「内部管理基本方針」に則り、経営管理上の重要な会議やコンプライアンス委員会をはじめとする各種委員会を定期的に開催するなど体制整備も進め、業務の健全性や適切性確保に取り組んでまいりました。
 また、地域のお客さまのニーズに応える、円滑な資金供給に資する融資業務を主たる収益確保の手段と定め、金庫収益は、お取引先の業績向上や回復とともにあることを目指すとともに、信用金庫法や企業会計原則等の諸法規に準拠する適切な資産の自己査定を厳格に実施し、対処の必要がある債権については、適正かつ積極的な償却・引当を継続的に実施し、資産の健全化に取り組んでおります。
 さて、金融経済の環境ですが、世界経済は、ポストコロナをにらんだ各種資源への需要急回復に伴い、サプライチェーンの混乱や原油・原材料価格の高騰を招きました。急激なインフレーションに対応するため、FRBによる政策金利の引き上げが今後も実施される見通しですが、新たな変異株(オミクロン株)による感染再拡大も世界各地で見られるなど、景気減速への影響も不安視されております。そのような中、発生したロシアのウクライナ侵攻は、国際社会をさらに不透明なものとし、早期対応した西側諸国の対ロシア制裁により、さらなる原材料価格の高騰・金融資本市場の混乱が懸念されております。国内においても、昨年末頃は新型コロナウイルス感染症が一旦落ち着き、経済も回復基調に向かう期待がありましたが、今年に入り、変異株による感染再拡大や緊迫する世界情勢の影響を受け、原材料価格の高騰や供給制約、円安進行による輸入物価高を招き、個人消費や企業収益への影響が懸念されます。このような中、政府は感染拡大防止策を図りながら、社会経済活動の再開施策を懸命に講じており、景気が緩やかに持ち直していくことが期待されています。県内においては、熊本地震から6年が経過し、交通インフラの復旧が進み、復興のシンボルである熊本城天守閣の一般公開や熊本駅再開発が行われたほか、TSMCの熊本進出決定による関連企業への誘致や空港アクセスなど周辺環境の整備への期待など、経済活性化の機運は高まっております。このように、コロナ禍の沈静化を前提に景気は回復基調にあるものの、業種や規模により、改善度合いに差が見られ、特に小規模事業者の経営環境は依然厳しい状況です。当金庫においても、コロナ禍の影響が長期化する不透明な金融環境の中、引き続き積極的な金融支援に臨んでいるところです。
 当金庫の業績面につきましては、預金は個人の流動性預金の増加を主因に前期比26億30百万円(1.49%増)増加の1,788億24百万円、貸出金はコロナ関連融資の影響が大きかった前期に比べ、伸びは鈍化したものの、2億84百万円(0.28%増)増加の1,017億62百万円となり、会員数16,169名で期末を迎えました。貸出金利息については、集計方法の変更に加え、貸出金平残の増加も寄与し、前期比2億62百万円増加しました。また、厳しい運用環境下、余資運用が10百万円減少したことに加え、集計変更により役務取引等収益が2億48百万円減少したものの、配当金の増加などにより、経常収益は30百万円増加し28億56百万円となりました。一方、資金調達費用は、預金利息が前期比1百万円減少したほか、今期から消費税の会計処理を税抜方式へ変更したこともあり、物件費が77百万円減少し、経費全体でも62百万円減少しました、また、コロナ関連特別引当金の計上などで前期増加した貸倒引当金純繰入額が今期は27百万円減少したため、国債等償還損の計上や金融派生商品費用の発生によりその他業務費用が34百万円増加しましたが、経常費用は65百万円減少の23億1百万円となりました。その結果、経常利益は前期比95百万円増加し5億55百万円となり、税引前当期純利益もほぼ同額の5億55百万円となり、法人税等の納付により、最終の当期純利益は66百万円増加の4億5百万円となっております。 
 今後の展望と課題ですが、コロナ感染防止対策と経済活動再開のバランスを図っていく状況下、ポストコロナの時代を見据え、お取引先の資金繰り支援に止まらず、事業継続・事業再構築の支援を強化し、経営改善に向けた課題解決のニーズに真摯に対応していくことが重要な課題となります。人口減少や高齢化による資金需要の低下や中小企業数の減少・テクノロジーの進化による金融業自体の加速度的変化への対応も迫られる中、協同組織金融機関の特性や強みを生かし、地域に根付いた金融機関としての本領を発揮し、地域からの信頼を得られるような活動を展開することが求められます。また、それと同時に、厳しい金融環境ではありますが、当金庫が地域やお客様のお役に立ち続けられるために必要な収益体質を維持・強化し、将来に亘って健全性を確保していくことも重要な課題であると考えております。来年、当金庫は節目の100周年を迎えます。「お客さま」に満足していただき、「地域経済」が活性化し、そして、「熊本信用金庫」も「職員」も良くなるという「四方良し」を目指し、全役職員の力を結集して地域に密着しお取引先や地域の発展に尽力する所存です。

2022年7月
会長 品川 良照
理事長 井星 伸一